金属酸化物表面に金属イオンを展開したとき、金属イオンがモノマーで存在するとしたときの熱力学計算である。
N個の配置可能な格子点があり、そこにn個のイオンが占有すると仮定している。
表面被覆率はn/Nとなる。
このとき、占有エネルギーが0.15 eV程度だと、800
Kで8%程の被覆率で安定化される。
次に、金属イオンがダイマーで存在する場合の計算を行う。表面種としてはダイマーのみを考える。
最安定被覆率はモノマーに比べかなり低いものとなる。被覆率を増すと金属イオンの会合機会が増加し、結果としてダイマーになるという事はありえないことが分かった。
今までのものは、ダイマーのみ、モノマーのみの計算であったが、今度は混合系を考えることにする。
混合系では、モノマー、ダイマーの化学ポテンシャルを得ることができた。理想気体によく似た化学ポテンシャルの表式である。これらを用いて、モノマー・ダイマー間の化学反応を考察する。つまり、モノマーが会合してダイマーになる、あるいは、ダイマーが解離してモノマーになることを考え、それらの存在確率を調べる。
二量化のエンタルピーは下地の(担体の)再編成がからむから、正の値をとると考えられ、Kはさほど大きくない。仮に負の値をとったとしても、全体の被覆率が大きくなると、それこそ、会合機会が極端に増加し、凝集したものが生成するため、被覆率は比較的小さく、Kθは1より小さいとしてよく、結果としてモノマー二よる被覆率が全体の被覆率と一致し、ダイマーは生成しえないということになる。
つまり、極端な場合、金属酸化物表面には金属イオンは「単原子分散」状態か、凝集体としてしか存在しえないことになる。