こんにちは。M2の大宅です。6月よりマサチューセッツ工科大学(MIT)のDepartment of Chemistry, Mircea Dinca教授の研究室で半年間の留学を行なっており、現在3ヶ月が経とうとしています。ようやく生活にも慣れてきたので、現地での様子や学校の雰囲気について感じたことを書こうかと思います。
MITはアメリカの東海岸にあるボストンという都市に位置しており、ボストンでは地下鉄が非常に発達しているため電車のみでほとんどの場所に行くことができます。MITの数駅となりにはHarvard UniversityやBoston College, Boston Universityなど有名大学が数多くあり、多くの学生が集まっています。一方で観光名所も比較的充実していて、ボストン美術館やボストン図書館などは建物や内装のデザインがとても洗礼されており綺麗でした。MLB、NBA観戦やWhale Watchingなどもでき、Downtownの方では毎日たくさんの観光客で溢れかえっています。
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図1-1ボストンの街並み
図1-2,1-3ボストン図書館。図書館とは思えないほど綺麗です。
図1-4ボストンはレッドソックスのホームです。
図1-5ボストン美術館。ゴッホやモネ、ゴーギャンなど多数有名作品がありました。
図1-6 ハーバードスクエアでは夢を語れがあります。結構人気みたいです。
さて、皆さんが気になるところのMITの雰囲気ですが、僕の所属しているDepartment of Chemistryの学生たちは意外にも皆気さくで話しやすくアクティブで、また非常に気遣いもできるまさに人格者といった方達ばかりで、日々自分を不甲斐なく感じております。
一方で研究に対してはやはり皆がSelf Motivatedで主体的に研究を行なっている印象で、研究成果を出している人がリスペクトされる風潮が強くあるような気がします。特にポスドクの方達は、ほぼ全員がNature, Scienceや少なくともNature Materialといったレベルのジャーナルにファーストで一度は載せている方達ばかりで、またMITのAdmissionを突破してきた大学院生たちも、学部のGPAはほぼ4.0(いわゆるCum Laude)で学部1回生から研究して論文も出していて…というような感じなので、世界トップの大学のレベルの高さを実感するとともに、非常に刺激を受けながら毎日を過ごさせていただいています。
一方でMITで過ごして気づいたのは、あまりにも日本人が少ないことです。同じアジア圏である中国人や韓国人のポスドクや大学院生が各ラボに数人はいるのに対し、日本人の学生、研究者はこちらが本気で探しても見つけるのが難しく、どうしてここまで差があるのか疑問に感じました。
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図2-1例のMITのドーム。化学科はドームのすぐ下にあります。
図2-2ある朝来ると構内にジェットコースターが建ってました。
図2-3 お土産コーナーのTシャツ。クセがすごい。
僕の留学先での研究テーマについてですが、Mircea Dinca教授の研究室で、共有結合性有機構造体(COF)でのスピントロニクスについて研究しています。Mircea教授はもともとMOFの創始者の一人であるJeffery Long研(UC berkeley)の出身で、その後MITで特に伝導性MOF,COFの開拓で非常に顕著な業績を上げておられる方です。僕はこれらの伝導性を生かしたCOFを、僕の元々の専門分野である有機スピントロニクスへ適用すべく研究しています。
研究環境としては、Mircea研究室では基本的にグローブボックス、ドラフトなどの合成機材および、PXRD,IR,ガス吸収測定の機材などMOF,COFの基礎物性測定用の装置が揃っていて、基本的にはみな普段は有機合成を行なっており、各自のテーマ固有のより専門的な測定は化学科が所持する共用の機材もしくは他の研究室で測定を行うことになっています。MITは学科間でのこうした機材の共有も盛んで、同じ化学・材料科学関係であるMIT nano, DMSE (Department of Material Science and Engineering)の測定装置へのアクセスも容易です。このように積極的に機材を共有するやり方は京大と大きく異なると思います。
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図3-1 左手前にあるのがPXRDで、奥にはグローブボックスが5台あります。
図3-2 ドラフトは基本1人1台あります。
図3-3 僕のデスクです。
僕は今回が初めての長期的な海外生活だったので、6月中ばに渡米して以降、初めの1,2ヶ月は慣れるのに大変でしたが、ようやく最近は日々の生活を楽しめています。予定的にはもう半分近くの日程が過ぎようとしていますが、まとまった研究成果が得られるよう頑張りたいと思います。